RAD学会のお話し【今後のダンス界に必要なスキルって何だと思う?】
こんにちは。
ダンサー専門管理栄養士のフミです。
シドニーは先週雨が降ってくれたのですが、また気温が41度まで上がったりしてドライな空気です。
山火事も広がってしまったようで・・・。
消防団などへの寄付以外に出来ることといえばもう神頼みくらいしかありません。
そんな中、週末はRAD学会に参加するためメルボルンに行ってきました。
今回はプレゼンターとしてダンス栄養学&摂食障害についてのお話しを。
そして他の方からもがっつり学ぶ気満々で。
ということで、どんな学び&ディスカッションがあったのかを紹介します。
DDDのワークショップ
(QLDの管理栄養士、Shane Jeffreyと共同。Shaneはアスリートの摂食障害専門でダンサーもみている人)
タイトル:Dance Nutrition: Enhacning Performance, Positive Body Image and Life-long Health for Dancers
内容:
現在のダンサーの食事・栄養・健康の状態(データ)
ダンサーの為の食事ガイドライン
摂食障害&RED-Sについて
指導者としてダンサーを安全に育てる義務とはどういうことか
とてもインテラクティブなグループで、特に摂食障害について皆関心が高く、スタジオや学校でどんな取り組みが今後必要かということを話し合ってアイディア交換出来たのはとても意義のあることだったと感じます。
その他の興味深い発表やワークショップ
Cultivating Wellness in Dance Education
Carolyn Carattiniのプレゼンテーションより。リボン部分に書かれているスキルが全て揃ってこそダンサーが自分の足でしっかりと立てる、というイメージ図。
このセクションは、ダンサーに必要なケア・指導について。
踊りだけではなく、キャリア・プランニング、ダンス栄養学、パフォーマンス心理学など。
解剖学やリハビリ・ケガ予防について学ぶことは最近増えてきたけれども、その他のことはほとんど行われていないよね?
踊り続けるために必要な健康な体作り
怪我予防の知識と、怪我をした場合の正しい効果的なリハビリ
不安や恐怖に潰されない精神的な強さ
感受性の豊かさ
周りと舞台を作り上げていく協調性
周りに影響されずに自分の事と向き合える自立心
ダンサーとしてのキャリアの後のこと
バレエや芸術というと別世界みたいな扱いをされるけれど、そこにいるのは人間なんです。人間として自分の好きなバレエや芸術で食べていこうと思ったら、それ相応のココロとカラダのケアが必要だし、その後の人生設計だって必要です。 それらのスキルを習う場所を指導者・学校・スタジオは提供する義務があり、個々のダンサーは習ったことを自分のものにして自立する責任がある、ということです。
Empowering Students to Thrive
オーストラリアバレエ学校カウンセラー Philippa Zeigenhardt のプレゼンテーション
より。
このセクションは主にオーストラリアバレエ学校に組み込まれている指導法について。
そしてダンサーに多い不安障害と上手に付き合っていく方法や、プレッシャーに負けないためのメンタルの培い方についても学びました。
一番印象に残っているのは、最初に投げかけられた質問。
「動物園のトラみたいに何でも与えてもらうのを待つダンサーか、野生のトラみたいに必要なものを自分で手に入れる力をもったダンサーか、ほしいのはどっち?」
(そりゃ、後者だよね)
「では、その指導・ケアをする私達は、動物園のトラになっていないと言えますか?貪欲に成長する気をもっているのですか?」
これは、すごく強い質問だった。
どんなものでも最初はやりなれていなくて難しいしドキドキする。
けど慣れてくると、次はそこから変化させるのが怖くなる。
Comfort zone に入ったまま出てこないと、成長出来ないんですよ。
変化を恐れず、果敢に挑む精神的な強さがダンサーには必要です。
そしてその指導・ケアをする私達にもね。
全体的にとても質の高い学会でした。
よくある「リサーチ結果だけ発表して終わり」ではなく、「提示された問題をどうしたら皆で解決していけるか?」というディスカッションの時間がたっぷりあった。
次は2022年です。
一緒に発表したShaneと、参加者が入ってくる前に1枚(というかその後写真撮るのすっかり忘れて結局これ1枚だけ)
Fumi x
DDDではダンサー、指導者、保護者のためのオンラインワークショップを用意しています。詳細はこちら。