DDD Centre for Recovery

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ダンサーの無月経問題を放置しないで

ダンサーを診ていて最近特に危ないなと思うのが、生理に対する知識があまりないこと。

RED-Sまたは摂食障害で、生理不順または無月経になっているにも関わらず、踊ることを許可する指導者や親が多い。これが後にダンサーのキャリアを台無しにすることも知らずに・・・。

視床下部性無月経(シショウカブセイ ムゲッケイ)

エネルギー不足のダンサーに一番よく起こるのがこれ。

視床下部っていうのは脳にある小さな腺で、ホルモンバランスを調節する役割があります。

これが、生理に必要なホルモンを分泌しなくなる(もしくは少ししか分泌しなくなる)ことで生理が止まることを、視床下部性無月経といいます。

これが起こる理由は様々だけれど、ダンサーで一番多いのが:

骨が脆くなる

生理が止まると骨が弱くなるのは、エストロゲンの量が減るから。

エストロゲン(女性ホルモン)の役割は:

  • 骨の生成を助ける

  • 骨からカルシウムが逃げていくのを防ぐ

  • ビタミンDの生成を助ける(そしてビタミンDは骨を生成するのに必須)

だから、

生理が止まる=エストロゲンの量が減る=骨を作るプロセスがなくなる=骨がどんどんもろくなる

というわけ。

さて、この無月経は、10代や20代前半でなるダンサーが多いように思います。少なくともうちのクリニックに来る多くはそれくらいの年代。

骨密度がぐんぐん高くなってくれるのは20歳前後まで。30歳前後からは骨密度は少しずつ減っていきます。

だから、10代や20代前半に無月経になったダンサーがそれをそのまま放っておくと、骨密度が本来なるはずだったレベルに到達できないままになります。

そして多くは20代後半から疲労骨折系のケガに悩まされ、最終的にケガが治ることなく踊りから引退することを余儀なくされます。骨粗しょう症になるダンサーも少なくない。

生理が止まった場合のベストな対応法

では、生理が止まった場合、どうしたらその状態から脱却できるのでしょう?

  1. まずはドクターに診てもらおう。エネルギー不足以外の原因がないか知ることが大事。

もしもエネルギー不足だと分かれば、

  1. 朝昼晩と間食を、一日を通して定期的に摂るようにする。

  2. 特にごはんや麺・パンなどの、主食系の炭水化物を増やす。

  3. オイル・フリーや低脂肪分の商品を使っている場合(ドレッシングとか乳製品とかね)は、普通のものに戻す。

実際最近はタンパク質が足りていないダンサーって比較的少ない。炭水化物や脂肪分を減らしすぎているダンサーはよく見かけるけどね。

間違った栄養話にひっかからずに、しっかりと食事をとっていればエネルギー不足は解消できます。

そして早く解消すればするほど、無月経によって引き起こされた問題も100%元に戻すことが可能です。

踊りは続けてもいいの?

すぐに摂取量を増やせない場合は踊りを制限する。

これは、無月経の場合、そしてエネルギー不足が続いている場合、踊れば踊るほど骨が脆くなっていってしまうからです。

海外のバレエ学校でしっかりしているところは「生理が戻るまではクラスに参加出来ません」というルールがあるところも。これは将来有望なダンサーの身体を守るためです。

無月経を軽く見て、「これくらい大丈夫でしょう」と言ってダンサーが普段通り踊ることを許可する保護者や指導者は未だ多くいます。そしてそのほとんどが、後戻りが出来ないところまでいってひどく後悔するのです。

一番いいのは、指導者が、ダンサーが回復するまででは別のレッスンプランを組んであげること。

アレグロ系は禁止しないといけないことが多いです。

でもバーレッスンや、その他ヨガやピラテスなどは、きちんとした指導の元出来ることが多いし、そうすることでダンサー自身も踊りに参加しながら治せるので、フルで戻った時に筋力が落ちているなどの問題も最小限に抑えることができます。

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