摂食障害の基礎知識【4】治療
摂食障害基礎知識ラストとなる【第4弾】は、治療について。
何度も言っているとおり、摂食障害はなりたくてなる病気じゃないんです。
遺伝的要因があるから、いくら気を付けていても発症することだってあります。
それは、いくら気を付けていても、交通事故に合う確率はゼロじゃないのと同じように。
その「もしも」の時のために、治療についても知っておこう。
摂食障害治療で一番大切なのは、正しい治療をいち早く受けること。
摂食障害は治るんですよ。
でもね、放っておいたらどんどん慢性化します。
慢性化したら心身共にダメージが募っていって、治りにくくなり、治療は5年も10年も長引くことになります。
摂食障害の治療ー機関
摂食障害の治療は、その重症度によって受ける場所が変ってきます。
重度の場合=病院(重症の場合や、自殺願望(極度の栄養失調はうつ状態や自殺願望を引き起こします)などが強い場合には入院しないといけません)
その他=クリニック(病院の外来、または個人の専門クリニックを受診します)
DDDは、後者のクリニックです。
病院からの紹介で来る方もいれば、バレエ学校の先生の紹介で来る方もいるし、グーグルで検索して来る方もいます。
(紹介無しでも治療は受けられます)。
残念ながら日本では拒食症’(重度)の入院治療は受けられる場所が増えたけど、その他(特に過食症や過食障害)の専門的な治療を提供しているクリニックや病院がすごく少ない。
そのギャップを埋めるため、日本の患者さんには、ビデオ電話で治療(食事カウンセリング)を提供させていただいています。
摂食障害の治療ー種類
摂食障害の治療には、
管理栄養士による食事療法(食事のカウンセリング)
臨床心理士による心のカウンセリング
この2つがあります。
どちらか1つではなく、両方必要です。
拒食症の場合、もしくはその他の合併症を患っている場合などでは、ドクターによる定期的な検査(血液検査や心電図など)も必要になります。
また、うつ状態や症状が強い場合には、精神科医による薬物療法も必要になってきます。
カウンセリングって具体的にどんなことをするの?
治療の目的は、栄養状態を回復することと、心身共に健康になることです。そのためには、
体重・体型に対する考えを柔軟にする
ボディイメージを高める
食事や食べ物に対する考えを柔軟にする
ダイエットを止める
自尊心を高める
コーピングスキルの種類を増やしていく
過去にトラウマがある場合(ない患者さんの方が少ないですよ)、それを消化し、乗り越える
など、カウンセリングでじっくりと治していくことが沢山あります。
食事療法で栄養状態(拒食症の場合は体重と臓器の回復も必要)などのフィジカルな回復を得ながら、心理士と根深い問題を解決していく。
これが治療のゴールデンルール。
チームワークが不可欠なわけです。
大人と子供では治療は違う?
子供や思春期の拒食症の場合には、家族療法(FBT; Family Based Treatment)が行われる場合もあります。
これは、心理士や栄養士の指導の元、患者さんの両親が家で食事療法を行うというものです。
この場合、両親共に月1程度のカウンセリングを受けることを強くお勧めします。
摂食障害は家族の身も心もボロボロにしますから。
治療期間はどのくらい?
これは、本当にケースバイケースです。
早くに治療を始めれば、6か月―12ヵ月という短期間で治るチャンスが大きい。
でも数年経ってから始めた場合、治療も数年かかることがほとんど。
だから、早期介入が大切なんです。
「ただのダイエットだと思って放っておいた」って、指導者や家族の方からよく聞きます。
「治療を受ける勇気がなかなか出なかった」というのも、本人からよく聞きます。
おかしいな、と思うことがあったら、すぐに相談してください。
摂食障害は治る?
治ります。
信頼できるチームの元で正しい治療を受ければ、治ります。
だから放っておかないで。
さて、情報満載でお送りした摂食障害基礎知識シリーズも一旦ここでおしまい。
ダンサーは摂食障害になりやすい性質を持っていることが多く、しかもリスクの高い環境にいる。
だからダンサーの摂食障害率は一般の人の2-10倍にもなるんです。
だからって「なって当たり前」みたいな扱いをするべきではないし、
出来る限り予防するべきだし、
特に指導者やダンサーを専門とする治療家は、正しい情報をもっているべきなんです。
そしてダンサーならば、自分の身は自分で守る術を知っておくべき。
摂食障害になったらダンス人生だけじゃなく、普通の生活も出来なくなるんだよ。
だから自分の身体をケアしてあげて。
Fumi x
バレエ指導者、保護者、トレーナーであれば摂食障害について知っていなければいけません。何か起こってからでは遅いのです。
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