First, Do No Harmという教え

医療や人道支援関係の勉強をした人であれば必ず聞いたことがあるであろう言葉、”First, do no harm”。

この短い言葉に含まれる教えは特に情報が散乱している今の時代とても大事なものだと思います。

医療、特に摂食障害に関してこの言葉の意味することをみていきましょう。

(Do no harmの言葉はNGOや難民支援などの仕事にも関係することですが、この記事ではそれらについては触れません)。

 

First, do no harm の意味

訳すと、「まず、害を与えてはならない」。

医療でいうと、リスクが最も低いかつ効果が最大の治療法を患者に合わせて選ぶことを優先し、今の状態よりも悪化すること(または悪化するリスクが高くなること)をしてはいけない、ということ。

摂食障害予防の観点からいうと、例えば摂食障害高リスクにある人(ダンサー、フィギュアスケーター、ジェンダーダイバース、そしてニューロダイバースな人達など)とコミュニケートする場合またはその人達に対して情報発信する場合、摂食障害のリスクをこれ以上上げるような情報や言動をしない、ということ。



意図してなくても害を与えることはある

悪質な嫌がらせやいじめでなくても、「良かれと思って言った(行なった)こと」が相手に害を与えることは残念ですがよくあります。

そしてこれは特に摂食障害をとりまく環境で起こります。

例えば・・・

  • 「痩せて綺麗になったね!」など、誉め言葉として体型についてコメントすること。これは暗に痩せる前は綺麗じゃなかったというメッセージともとられるし、「せっかく褒めてもらえたのに、太ったらどうしよう・・・」という不安を植え付けることになります。

  • 当たり前のように男女でグループ分けをすることは、ジェンダー・性的マイノリティの存在を無視することになります。

  • 近頃蔓延している、「砂糖は毒」という様なメッセージは、それを読んだ個人がその後砂糖を含む食品を食べる度に罪悪感や不安を募らせることにつながります。

  • 前回の記事のように、「脂肪を燃やす」というような、生理的プロセスをシンプル化しすぎた表現は危ないダイエットを促進してしまいます。

 

「そんなこといちいち気にしていられない」

と思うかもしれない。

自身の発信するメッセージのインパクトがどのようなものか想像していない人は多いでしょう。

もしくは「私もダイエットだらけの環境で育ったけど摂食障害にならなかったから大丈夫でしょ!」と考えるかもしれません。

それは、そこまで敏感に情報やメッセージをネガティブに受け取ることがなかったから、大丈夫だったということ。

(摂食障害はバイオ・サイコ・ソーシャルなものなので、遺伝的になりやすい人とそうでない人がいるということも覚えておきましょう)

 

Do No Harm は、弱い人を守るために周りが努力をする、ということです。

とても道徳的な考えだからこそ、今の時代に必要なのではないでしょうか?

 

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