ダンサーのピル事情
まず、ここで話す「ピル」は経口避妊薬のことです。
ただ、経口避妊薬といっても避妊以外の目的で使用されることもあります。
ピルのお話しは生理のお話し無しではできないから、そこから始めましょう。
生理とピル
子宮がホルモンの刺激を受けて出血するのが生理です。
初めての生理を初潮といって、これは大体12歳前後で来るのが一般的。
(遺伝的に早かったり遅かったりするから、友達と比べるよりも親の初潮の年齢と比べてみてね)
生理の重要性は生理関連の問題はこれまでにも書いてきてるから、詳しくはそれらの記事をチェックしてください。
日本では18歳で初潮がきていないことを原発性無月経、そして初潮はきたもののある時期から3か月以上生理が止まることを続発性無月経と言います。
生理が来ないということは体に何かトラブルがある証拠。
16歳で初潮がまだの場合は婦人科に行くことをお勧めします。すごーく稀だけど、遺伝的な原因や子宮の問題があるかもしれないからね。
さて、16-18歳で初潮がまだ、もしくは生理が止まってしまった、という場合。
一般的なのはピルを飲んで生理を誘発する方法(ドクターの指導の下でね)。
ピルで誘発出来る場合、「生理が来ない体」ではないということが分かります。ということは、摂食問題・摂食障害、低体重・低脂肪率、運動のしすぎからくる長期的なエネルギー不足、またはストレスによるもの、ということが分かります。
それらを治せば生理が来ます。
ドクターによっては原因が解決するまでピルを飲み続けさせる人もいれば、ピル無しで問題解決してくださいと言う人もいる。
(注:ピル使用に至るまでには血液検査やホルモン検査の他にも、超音波検査などもすることになります。子宮に異常がないかを調べる必要があるからね。PCOSの有無もこれで分かるしね)
問題なのは、ピルを飲み続けて生理を誘発することに安心して、原因を解明しないままでいること。
もしくは栄養失調やストレスという原因が分かっているのにそれを治さないままピルを飲み続けて生理を誘発して現実から目を背けること。
さて、生理が来ていて問題もない場合、どうしてピルを飲むダンサーがいるのか?
それは、避妊以外にも月経困難症(生理痛がひどいこと)や生理の時期や量をマネージしやすいからというのが大きな理由。
ただ、未成年の場合まだ骨が成長中。
だから出来る限りピル無しでも自然に生理が来る状態までもっていきたい。
これは本当にケースバイケースで対応していて、本人のこの先のゴールと身体の状態を考慮しながら決めていきます。
経口ピルは通常の生理同様、28日周期で用意されています。
(注:そうじゃないタイプも最近は沢山出ています)
これには「アクティブ」ピルが21錠と「シュガー」ピルが7錠入っています。
1日1錠飲むから、1パックに28錠ということ。
(他にも21錠入ったものもあって、これは3週間分のアクティブピルのみです。最後の1週間は何も飲まないということ)
アクティブピルがホルモンの入っているもので、これを飲んでいる間は生理が来ません。
シュガーピルはホルモンが入っていなくて、これを飲んでいる1週間の間に出血が起こります。生理みたいにね。
ピルを継続する人のほとんどは、避妊以外にも生理痛が和らぐ(ほとんど痛みなし)っていうことと、出血の量が少量になるっていうことに魅力を感じるみたい。
生理痛がひどいと踊りに支障が出るし、リアルな話全く痛くなかったとしても生理中に白鳥の白チュチュを着るほど不安なことってないでしょ。
人によっては、ピルを継続することでむくみがひどくなったり、偏頭痛が伴うこともあります。
特にこれらの症状が前からある人はひどくなるリスクがあるということ。
その場合は飛びつく前にちょっと考えたい。
ダンサーは特にむくみや体の感じ方の変化に敏感。
だから生理関連の問題やピルは慎重な判断が絶対に必要。
まとめ
- 16-18歳で初潮が来ていない場合はすぐに婦人科にいきましょう。そして原因を解明しましょう。
- 生理がある時から止まってしまった場合もすぐに婦人科にいきましょう。そして原因を解明しましょう。
- ピルを飲もうか考えている場合、信頼するドクターにまず相談しましょう。処方箋無しでオンラインで買えるようなものは絶対におすすめしません。少なくとも最初のものはドクターに処方してもらいましょう。そうすることで副作用なども最小限に抑えられますよ。
- 健康体の場合、ピルを飲むことのリスクは比較的低いでしょう。
- 摂食障害の場合、ピルで生理を誘発しつづけることはお勧めしません。食事療法やカウンセリングで自然に生理が来る体重まで上げる必要があります。
- 体重が減った、またはストレスが溜まっている、という場合も、いくらピルで生理を誘発してもそれは体のナチュラルなプロセスではありません。体重を戻したりストレスを解消しないと根本的な解決にはなりませんよ。
- 生理は健康のバロメーターで、女性ダンサーには必要不可欠な自然な成長プロセスの1つです。
Fumi x
注:これらの情報は一般的なものです。体の変化や不安なことがある場合は信頼できるドクターに行きましょう。また、家族歴や病歴によって様々な副作用や長期的リスクが伴う場合もあります。決して個人的な判断で使用しないようにしましょうね。